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本の紹介をしています。

汗をかけ恥をかけ文をかけ 感想

タイトル 汗をかけ恥をかけ文をかけ

著者 渡辺道治

発行所 株式会社 東洋館出版社

定価 1800円+税

 

この本は現役で教師をしている渡辺道治さんの教育現場での実体験や教育という仕事に携わって感じたことなどが書かれている本になります。

最初この本を知り合いから勧められた時は、教育とは無関係の仕事をしているのであまり僕は読む気になりませんでした。ですが読み進めていくうちに、自分の生活の中に取り入れることができる考え方や子供との接し方などとても勉強になる一冊になりました。特に印象に残っているのは質量転化の嘘というテーマのところです。質量転化とは簡単にいうと積み重ねた量がいずれ質に変わるから最初は質を追い求めるのではなく量をこなそうというものです。ですが、これにはいくつかの嘘があります。例えば人間生きている限り字を書き続けますが、未だに字が汚い知り合いがいます。書けば書くほど上手になるのが質量転化の法則になるわけですが、この人は一向に上手くなりません。

これは下手な字を書いていることを「作業」にしているのでいくら字を書いても上手くならないのです。毎回字を書くときに意識して字をきれいに書くように心がけていればきっと上手くなるはずです。この明確な目標を持ってすることを本の中では「稽古」と呼んでいます。なので何も意識せずに字を書いているだけでは、ただの「作業」であり、単純な手指の運動にすぎないそうです。これを見た時、自分が無意識に「作業」にしていることが頭に中に浮かんでとてももったいないことをしているなと思いました。

 

若手教師の方や子供との接し方に悩んでいる人には特に良い一冊だと思います。