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虚ろな十字架 感想

タイトル 虚ろな十字架

著者 東野圭吾

発行所 株式会社 光文社

定価 1500円+税

 

この本の物語は、物心つく前に母親をなくした井口沙織と同じ中学校の1つ上の先輩仁科史也が出会いお互いが惹かれあっていくところから始まります。

ペット葬儀会社で働く中原道正のもとに、一人の刑事が訪ねてきます。要件は数年前に離婚した元妻浜岡小夜子が殺されたという内容のものでした。この二人は子供を空き巣犯に殺された過去を持ち、それが原因で数年前に離婚したのでした。殺人事件の内容は人通りが少ない路地でいきなり刺されて持っていたカバンが盗まれたという内容でした。離婚後全く連絡も取りあっていなかった中原道正は何も身に覚えがありません。ですが、元妻の実家にお線香をあげに行った際に、元妻の両親から離婚してから殺される前までの浜岡小夜子がどのような仕事、活動をしていたかを知り物語が動いていきます。フリーライターとして、万引き依存症の人達ことを記事に書き、そしてその人達が更生することが出来るようにしていたこと、殺人事件で家族を失った人たちの相談にのったり、支援したりする団体に所属していたこと。自分の知らない期間の元妻の行動を調べていくうちに様々なことが判明していきます。

話は変わり、慶明大学医学部付属病院に勤務している仁科史也とその妻の仁科花恵、そして二人の間には子供がいます。ある日妻の仁科花恵の父町村作造が人を殺して警察に捕まります。夫仁科家はすぐに離婚するように仁科史也に話をしますが、聞く耳をもたないどころか親子の縁をきりたいと言い出します。妹の仁科由美はその場をなんとか鎮めますが、兄がとても必死になっていること、子供が全く兄仁科史也に似ていないことなど納得できない部分がとても気になっていきます。

この登場人物がどのように関係して、どのような結末を迎えるのか、ぜひ読んでみてください。

私は東野圭吾さんの作品が好きで、今までに20冊以上は読んできました。その中でも一番衝撃を受けた作品が「虚ろな十字架」です。この作品の中で日本の死刑制度に触れるところが何度かでてきます。殺人犯を死刑にするべきだが、死刑にしたところで殺された人が戻ってくるわけではない。でもそうでもしないと残された遺族の気持ちはどうすればいいのか。私自身もこの本を死刑制度を廃止にするべきか、しないべきか考えました。ですが、それはどちらの選択肢をとっても全員が納得するものではないと思ました。

もし少しでも興味がでてきたかたは是非読んでみてください。